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「お前がいなくても世界はまわる」
そう言われて酷く落ち込んだ時があった。
僕がいなくても世界はまわる。
それは僕の存在を否定する言葉だった。
だったら何故僕は生まれてきたのだろう。 世界に必要のない人間だったら、いなくてもいいのに………。
酷く落ち込んだ。
だけど、今になってその言葉に救われている。
「お前がいなくても世界はまわる」
確かにそう。 僕は無力だ。 僕がいなくても世界はまわる。 僕は世界には必要のない人間かもしれない。
だけど。
だからこそ、僕がいなくても世界はまわってくれるんだ。
「僕がいなくても世界はまわってくれる」
――そう考えた時、肩の力が抜けた。
自分の存在意義を必要以上に求めすぎてた自分がいた。 認められたくて。認めてほしくて。認めたくて。
必死に世界を動かそうと考えていた自分――。
僕がいなくても世界は回る。 それは残酷な現実かもしれない。
けれども、僕がいなくても世界はまわってくれる。
――「お前がいなくても世界はまわる」
今ではその言葉に助けられてる自分がいる。
逆に、僕が回ったら世界は……… どうなるのだろう?
その場で回ってみたが、世界の変化は特に無い。
自分以外の何かを軸にして回らないといけないのかもしれない。
気付けば、憧れの彼女の周りを回っていた。
初めは彼女の住む県内をぐるぐる周り、次に彼女の住む市内をぐるぐる回る。
次は彼女の住む区内を回り、次は彼女の住む町内を回る。
少しずつ、少しずつ、『彼女』という中心に向かって、回る範囲を狭めていく。
彼女の家の周りをぐるぐるまわる。 24時間体制で安心サポート。 常にぐるぐるぐるぐる。
――彼女の部屋の中をぐるぐる。
部屋に入ってきた彼女の周りをぐるぐる。
「あなたがいるから僕はまわっています」
初めて話しかけた。 彼女の周囲をぐるぐる回りながら、そう言ったら彼女が泣き出した。
何故だろう。
僕がいなくても世界は回る。 だけどあなたがいなければ僕は回れないのに。
恐怖で泣き喚く彼女の周りをぐるぐると回る。
泣き止まない彼女に縦回転もサービス。 彼女の周囲を回りながら縦にも回る。
縦横無尽に回る。
逮捕後、精神鑑定にまわされた。
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