
「私、中本静。
受験まであとわずか。悔いの無い1年にしたいです。」

「ワタクシ、高城麗子。
今日も決まりましたわ。最上級生に相応しい心構えで勉学に励みますわ。」

「あたし、加藤美夏。
『長寿庵』の看板娘。もうすぐ受験だけど、ファイトファイトで頑張るぞ!」

「アタシ、新井聖美。
今日から高校三年かー!いっちょ、気合入れて行くか!」




「アタシ、志村まみ。
高校生活あと一年だから、おもいっきり楽しんじゃおーっと!」

ヒギャァァァァァーーーー!!!!!
卒業R
〜Graduation Real〜
――実写化。
過去、実写化された作品で成功した例があるでしょうか。
「ときメモ」を筆頭に、「キューティーハニー」、「忍者ハットリ」、
「シュート!」、「電影少女」、「アカギ」、
「兎」、「北斗の拳」、「ドラゴンボール」・・・etc
どれも商業的に成功したかどうかは知りませんが、
少なくとも作品的には成功したとは言えないと思います。
「シュート!」などは、SMAPの黒歴史になっているばかりか、
「電影少女」に至っては、本編の評価までも著しく下げるといった波状効果まで生みました。
僕自身、実写の『あい』ちゃんは見なきゃ良かったと未だに後悔しております。
原作が好きであればあるほど、
その実写版のギャップの破壊力は凄まじいというものです。
――「卒業」という人気ゲームがあります。
主人公が女子高の教師となって5人の問題児を、
1年間、手取り足取りチン取り指導して卒業に導くという、
童貞の妄想をそのままゲーム化したような作品でございます。
92年、PC用ゲームとして発表された「卒業」は、
その後の『美少女育成SLG』という、ギャルゲーの基盤を作った作品でした。
ゲームで美少女を育成してる僕のような人間こそ、
性根を叩き直して社会的に育成されてほしいのですが、
そんな僕とは裏腹に「卒業」は好評で、シリーズ化されていきます。
卒業2、卒業3と続き、関連作品も増えていきました。
しかし、どんな好評な作品でも、
シリーズ化すれば黒歴史が出てくるものです。
何をトチ狂ったのか、やっちゃったんですよ。実写化。
遡ること1996年、
プレイステーションで「卒業R」は我々の前に姿を現しました。
「R」というのは「リアル(real)」の頭文字であり、
5人のキャラクターが非常に残念なことに実写化されております。
それでは「卒業R」のスタート画面を見て頂きましょう。
大抵、電源を入れたあとのギャルゲーのスタート画面というのは
シンプルに構成されております。
そのシンプルな構成こそが、
これから始まる「激萌え」という濁流の荒波へと
プレイヤーを飲み込まんとする恐ろしさの対比、
つまりは嵐の前の静けさを表すようなものです。
初めて聞くCDを2曲目から聞かないように、
誰しもが、初めてやるゲームのトップ画面を最初に見るものです。
CDでいう一曲目、ファーストコンタクト、
すなわち、第一印象というのは結構重要なのです。
それでは卒業Rのトップ画面を見て頂きましょう。どうぞ。

・・・萌えないよ。
狂おしいほどに萌えないよ。
シンプルじゃない上に、萌えないというダブルパンチですよ。
もう、先行き不安すぎですよ。
どいつこいつもキャラが立ってるんだか立ってないんだか中途半端ですよ。
だいたい、目立つはずの真ん中の子よりも左端のギミックに目が行くわ、
なんか、「鼻メガネ」から鼻を取ったようなメガネかけてるわ、
右から2番目に、誰かのスタンドが出てるわ…。
「Push Start Button」とか書いてるけど、
プレステの電源ボタン押そうかと思いましたよ。
とりあえず、キャラがわからない人に説明しておくと、

画面右から、
時代を感じるパーマが哀愁漂うタカビーお嬢様、高城麗子。
説明書の『ツッパリ娘』という表記に爆笑、ツンデレの先駆け、新井聖美。
スポーツ得意、天真爛漫、
というかこの中ではキャラ的に薄い、加藤美夏。
メガネ外せば普通に可愛いと思う、中本静。
何かのバグ、志村まみ。
このトップ画面に呆れて放置してたら、
この日記の冒頭のキャラ紹介VTRがいきなり始まり、
またしても大量のパンを胃にカチ込む大道芸を見せられるハメになり、
泣く泣くスタートボタンを押すはめになります。
すると、主人公(というか先生)の名前入力画面に移りました。
とりあえず、僕の名前を入力し、
「ヲタ部幹事」先生として、一年間頑張ってみたいと思います。

・・・・・・!?(ビキッ)
驚くことにこのゲーム、主人公の名前に平仮名しか入力できません。
ファミコンかよ!? いくら何でも酷すぎるよ!?
いかにこのゲームの予算を抑えて作ったか推測できるけど、
こっちのやる気まで抑えられたよ!?
低コスト、低クオリティ、低モチベーション、という、
この作品に対する開発者の姿勢をこの一画面だけで
表しているあたりは、さすがとしか言い様がないです。
消費者ナメてんのか。
結局、「をたぶかんじ」という恐ろしく頭の弱い名前を入力し、
教師のタイプを教師にあるまじき、「プレイボーイ型」
(初期パラメーターに違いがでる)に設定しました。

担当クラスが、
強制的に「3年B組」になるあたり、薄ら寒くて仕方ないのですが、
何はともあれ、やっとゲームスタートです。
「卒業R 赴任1日目」
『今日から新学期です』
イィィィーーーヤッハアァァーーーッッ!!
ついに僕も女子高の教師ですよ!こぅこぅ☆きょぅしですよ!
内ポケットに教職免許、右手に毛筆、左手にスズリ、高校教師ですよ!
夜の生徒指導もやりたい放題ですよ!フヒヒヒヒ・・・。
さーて教師赴任、第一日目。
先生、キミたちのために頑張るよ!

………何をすればいいやら。
説明も何もなく、いきなりこの画面ですからね。どうしろと。
わけもわからず、しばらく操作してみて、ようやく理解してきました。
どうやら、5人の生徒の内、1人だけに、
僕が一週間のスケジュールを決めることができるのです。
学力のパラメータが低い生徒には、勉強重視のスケジュールを組んだり、
体力のパラメータが低い生徒には、「体操」コマンドで体力をつけさせたり、
と、何故、一介の教師が「生け花」、「エアロビ」などを
生徒に強制させる権利を持つことができるのか理解に苦しみますが、
とにかく僕の目的は彼女たちを「卒業」させること。
学力のパラメータが低ければ留年してしまい、卒業できないのです。
いくら彼女たちが勉強が嫌いでも、
彼女たちのために僕は愛のムチを振るわねばならないのです。
とりあえず、「学力」のパラメータが低い大道芸人こと、
「志村まみ」に「問題集」をさせてみます。

あれ、先生、疲れてるのかな?
上がってるパラメーターよりも
下がってるパラメーターが多いように見えるよ?
何かの見間違いだよね。
そうじゃないといつかパラメーターがゼロになっちゃうしね。
勉強すればするほど、バカになっちゃうってことだしね。
そんなことあり得ないよね。
じゃ、気を取り直して、明日も「問題集」で頑張ろうね。
「生徒が予定を勝手に変更しました」
・・・・・・!?(ビキッ)

このアマ、
チンチンビンタでアゴ砕くぞ。
何で勝手にディスコとか行ってんだよ!
つーか、課題が「ディスコ」って何よ!?
せめて「ジャスコ」にしとけよ!
もう、どうでもいいからお前に「インスコ」したいよ!
こうして僕が「志村まみ」の指導に四苦八苦している間、
僕が指導できない他の4人は・・・




もう、先生、
教職放り出してディスコに行きたいよ・・・。
(続く)
続き → 「卒業R 赴任2日目」





